コンパウンドとは?効果的な使い方と選び方を徹底解説

コンパウンド

コンパウンドは、車のボディに付いた浅い傷を目立たなくしたり、表面を滑らかにしたりする研磨剤です。

しかし、コンパウンドと言っても、その種類はさまざまで、用途やボディの状態に合わせて選ぶ必要があります。使い方を間違えると、かえって傷を悪化させてしまう可能性も。

そこで今回は、コンパウンドの基礎知識から、効果的な使い方、選び方までを解説します。コンパウンドを探している人や、愛車をきれいにしたい人は参考にしてください。

目次

コンパウンドとは?

コンパウンド

コンパウンドとは、車体の表面に付いた微細な傷を目立たなくしたり、塗装面の光沢を復元したりするために使用される研磨剤のことです。

「磨き粉」や「研磨ペースト」と呼ばれることもあります。

コンパウンドは、おもに以下の3つで構成されています。

  • 研磨粒子
  • 油性成分
  • 界面活性剤

これらの成分の配合によって、研磨力や仕上がりが異なります。コンパウンドを使用することで、洗車傷や拭き傷などの浅い傷を目立たなくするだけでなく、塗装面のくすみを取り除き、新車のような輝きを取り戻せます。

しかし、深い傷や塗装が剥がれてしまった傷は、完全に消せないので注意が必要です。

コンパウンドの意味と種類

コンパウンド(Compound)は、英語で「混合物」「化合物」を意味します。(複数の成分を混ぜ合わせたもの)

車用のコンパウンドは、主に「研磨粒子の大きさ」と「形状」によって、様々な種類に分類されます。研磨粒子の大きさは、コンパウンドの研磨力を左右する重要な要素です。

粒子が大きいほど研磨力が強く、深い傷に対応できますが、磨き傷が残りやすくなるため注意が必要です。一方、粒子が小さいほど研磨力は弱くなりますが、仕上がりが滑らかになります。

一般的には、以下の種類に分けられます。

  • 粗目
  • 細目
  • 極細
  • 超微粒子

傷の状態や、求める仕上がりに応じて使い分けることがほとんどです。

また、「形状」によっても研磨力や仕上がりが変わります。たとえば、角が立った形状の粒子は研磨力が強いですが、傷が残りやすい傾向があります。

一方、球状の粒子は傷が残りにくく、滑らかな仕上がりが期待できます。コンパウンド選びで迷った際は、複数の種類がセットになった商品を選ぶのもおすすめです。

コンパウンドの主な成分とその役割

コンパウンドの主成分は、「研磨粒子」「油性成分」「界面活性剤」の3つです。

それぞれの役割を表でまとめたので、以下を参考にしてください。

研磨粒子コンパウンドの主役塗装面を研磨して傷を目立たなくしたり、表面を滑らかにしたりするアルミナやシリカなどの鉱物が使用される
油性成分研磨粒子を塗装面に均一に分散させ、摩擦熱を抑える役割研磨によって発生した粉塵を吸着し、作業性を向上させる効果もある鉱物油やシリコーンオイルなどが使用される
界面活性剤油性成分と研磨粒子を均一に混ぜ合わせ、研磨効果を高める役割洗浄効果もあり、研磨後の汚れを落としやすくする効果もある

これらの成分がバランスよく配合されることで、コンパウンドは効果を発揮します。コンパウンドを選ぶ際には、これらの成分表示を確認し、目的に合った製品を選ぶことが重要です。

コンパウンドの選び方

コンパウンド 小傷

コンパウンドは、製品によって研磨力や仕上がりが異なります。そのため、愛車の状態や求める仕上がりに合わせて、適切なコンパウンドを選ぶことが重要です。ここでは、コンパウンド選びで失敗しないためのポイントを、用途・初心者向け・プロ向けという3つの観点から解説します。

用途別に見るコンパウンドの種類

コンパウンドは、おもに以下の用途に分けられます。

  • 傷消し用
  • 仕上げ用
  • 水垢・イオンデポジット除去用

傷消し用は、洗車傷や拭き傷などの浅い傷を目立たなくするために使用されます。傷消し用コンパウンドは、比較的粗い研磨粒子が含まれており、研磨力が強いのが特徴です。

傷の状態に合わせて、粗目、細目、極細などを使い分けます。仕上げ用は、傷消し用コンパウンドで磨いた後に使用し、塗装面をより滑らかに仕上げるために使用されます。

仕上げ用コンパウンドは、非常に細かい研磨粒子が特徴的で、研磨力は弱めです。おもに、超微粒子タイプが該当します。

水垢・イオンデポジット除去用は、通常の洗車では落とせない、頑固な水垢やイオンデポジットを除去するために使用されます。これらの用途に特化したコンパウンドは、専用の成分が配合されており、効率的に汚れを除去可能です。

愛車の状態や目的に合わせて、適切なコンパウンドを選びましょう。最初は、複数の種類がセットになった商品から試してみるのもおすすめです。

初心者におすすめのコンパウンド

初めてコンパウンドを使用する人には、研磨力が弱く扱いやすい「細目」または「極細」タイプがおすすめです。

これらのタイプは、磨きすぎるリスクが少なく、初心者でも安心して使用できます。最初は、目立たない場所で試し磨きをおこない、仕上がりを確認してから、全体に使用することをおすすめします。

コンパウンド選びで迷ったら、「細目」「極細」「超微粒子」の3種類がセットになった商品を選ぶとよいでしょう。これらのセット商品は、傷の状態や求める仕上がりに合わせて、使い分けられるため、非常に便利です。

具体的には、以下の商品があげられます。

  • ソフト99:99工房 液体コンパウンドトライアルセット
  • 3M:コンパウンド トライアルキット

これらの商品は、比較的安価で入手しやすい点も魅力です。また、これらのセット商品には、コンパウンドを塗布するためのスポンジや、拭き取り用のクロスが付属していることが多く、すぐに使い始められます。

まずは、これらの初心者向けのコンパウンドで、基本的な使い方をマスターしましょう。

プロが愛用するコンパウンド

プロの現場では、仕上がりの品質と作業効率が求められます。そのためプロは、自身の経験や技術、車の状態に合わせて、最適なコンパウンドを使い分けています。

プロが愛用するコンパウンドは、一般的に研磨力が高く、仕上がりがよいことが特徴です。たとえば、3Mの「ウルトラフィーナ コンパウンド」シリーズは、多くのプロに支持されている、高性能コンパウンドです。

このシリーズは、極めて微細な研磨粒子を使用しており、深い傷を消しながらも、非常に滑らかな仕上がりを実現します。また、焼き付きやバフ絡みが少なく、作業効率にも優れています。

さらに、ドイツのメンツェルナ社のコンパウンドも、プロの現場で広く使用されています。これらのプロ用コンパウンドは、一般向けの製品に比べて高価ですが、仕上がりの品質は非常に高いです。

しかし、これらのコンパウンドを使いこなすには、ある程度の技術と経験が必要です。初心者が使用する場合は、初心者向けのコンパウンドで練習を積んでから、挑戦することをおすすめします。

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コンパウンドの使い方

コンパウンド ポリッシャー

コンパウンドは、正しく使うことで、愛車の美しさを取り戻す強力なツールとなります。しかし、使い方を誤ると、かえって塗装面を傷つけてしまう可能性もあります。

ここでは、コンパウンドを使用する前の準備から、効果的な磨き方のコツまで、詳しく解説します。安全かつ確実に作業を行うための手順を、しっかりと理解しましょう。

使用前の準備と必要な道具

コンパウンドを使用する前に、まずは必要な道具を揃え、適切な作業環境を整えましょう。

基本的な流れは、以下のとおりです。

  1. 洗車をして車体の汚れを完全に落とす
  2. 水気をふき取り乾燥させる
  3. コンパウンドに必要な準備をする(後述)
  4. コンパウンドで磨く

まず、洗車をして車体の汚れを完全に落とします。

汚れが残った状態でコンパウンドを使用すると、汚れを引きずってしまい、新たな傷の原因になります。洗車後は、水気を完全に拭き取り、乾燥させましょう。

次に、以下の道具を準備します。

  • コンパウンド
  • スポンジ
  • マイクロファイバークロス
  • マスキングテープ
  • ポリッシャー(必要に応じて)

スポンジは、コンパウンドの用途に合ったものを選ぶとよいです。

手磨きの場合は、柔らかいスポンジが適しています。ポリッシャーを使用する場合は、ポリッシャー用のバフを用意しましょう。

マイクロファイバークロスは、コンパウンドの拭き取りに使用します。また、周囲のパネルやモールなどを保護するために、マスキングテープを使用します。

とくに、樹脂パーツやゴムパーツは、コンパウンドが付着すると白く変色する恐れがあるため、注意が必要です。作業は、直射日光の当たらない、風通しの良い場所でおこないましょう。

直射日光が当たると、コンパウンドが乾燥しやすくなり、ムラや焼き付きの原因になります。準備を怠ると、作業に支障をきたすだけでなく、車を傷つけるリスクも高まるので気を付けましょう。

効果的な塗り方と磨き方のコツ

スポンジにコンパウンドを適量取り、磨く範囲に薄く均一に塗り広げます。この際、コンパウンドの付けすぎに注意しましょう。少量ずつ、様子を見ながら作業を進めるのがポイントです。

塗り広げたら、スポンジを軽く押し当てながら、直線的にまたは円を描くように、優しく磨いていきます。

力を入れすぎると、塗装面を傷つける恐れがあるため、注意が必要です。また、同じ場所を長時間磨き続けると、摩擦熱で塗装面を傷める可能性があり、パネル全体を均一に磨くように心がけます。

磨き終わったら、マイクロファイバークロスで、コンパウンドを丁寧に拭き取ります。

この際、力を入れすぎず、優しく拭き取るのがポイントです。拭き残しがあると、シミやムラの原因になるため、慎重におこなうことが大切です。

傷の状態を確認しながら、必要に応じてこの工程を繰り返します。手磨きの場合は、時間と労力がかかりますが、ポリッシャーを使用すると作業時間を短縮し、より均一に磨けます。

しかし、ポリッシャーの使用にはある程度の技術が必要なため、初心者は手磨きで練習を積んでから、挑戦しましょう。

コンパウンドの注意点

コンパウンド ポリッシャー

コンパウンドは、愛車の美しさを維持するためにおすすめですが、使用する際にはいくつかの注意点があります。注意点を理解せずに使用すると、かえって車を傷つけてしまう可能性も。

ここでは、コンパウンドを使用する際に、注意すべきポイントを解説します。安全かつ効果的にコンパウンドを使用するために、これらの注意点を理解しておきましょう。

汚れをよく落としておく

コンパウンドを使用する前に、洗車を丁寧におこない、車体に付着した汚れや、埃を完全に除去することが大切です。

汚れや埃が残った状態でコンパウンドを使用すると、それらを巻き込んでしまい、新たな磨き傷を付けてしまう恐れがあります。とくに、鉄粉などの硬い粒子は深い傷の原因となるため、注意が必要です。

鉄粉が付着している場合は、鉄粉除去剤や鉄粉除去用の粘土を使用して、完全に取り除いておく必要があります。また、洗車後は水滴が残らないように、しっかりと拭き取ることも重要です。

水滴が残っていると、コンパウンドの効果が十分に発揮されないだけでなく、水滴がレンズの役割を果たし、太陽光を集めて塗装面を傷める可能性もあります。

洗車は、コンパウンド作業の仕上がりを左右する、重要な工程です。下準備をしっかりおこなうことが、コンパウンドの効果を最大限に引き出すための秘訣です。

深い傷は落とさない

コンパウンドは、あくまでも塗装表面の浅い傷を目立たなくするためのものです。

爪が引っかかるような深さの傷や、下地まで達している傷は、完全に消すことはできません。深い傷を無理に消そうとすると、周囲の塗装面を過剰に削ってしまい、かえって傷を目立たせてしまう可能性があります。

また、クリア層が薄くなりすぎて、塗装の劣化を早めてしまうリスクもあります。深い傷の場合は、無理にコンパウンドで対処しようとせず、プロに相談しましょう。

プロの技術であれば、パテ埋めや再塗装などの適切な処置により、傷を目立たなくできます。コンパウンドで対処できる傷の深さは、一般的にクリア層の範囲内です。

クリア層は、塗装の最も外側の層で、塗装面を保護する役割を担っています。

そのため、コンパウンドを使用する前に、傷の深さを確認しコンパウンドで対処できるかどうかを、見極めることが重要です。無理な作業は、愛車を傷つけることにつながります。

コンパウンドの活用事例

コンパウンド ポリッシャー

コンパウンドは、車のボディ磨き以外にも、さまざまな用途に活用できます。

ここでは、代表的なコンパウンドの活用事例を紹介します。DIYでの活用方法についても解説するので、合わせて参考にしてください。

車のボディ磨きに使う方法

コンパウンドのもっとも一般的な用途は、車のボディ磨きです。洗車傷や拭き傷などの浅い傷を目立たなくし、塗装面の光沢を復元できます。

ボディ磨きに使用する際は、傷の状態に合わせて、適切な種類のコンパウンドを選ぶことが重要です。粗いコンパウンドから始めて、徐々に細かいコンパウンドに変えていくことで、より滑らかで美しい仕上がりになります。

また、磨きすぎると、クリア層を削りすぎてしまう可能性があるため、注意が必要です。そのため磨く範囲は、傷の周辺に限定し必要以上に広げないようにしましょう。

さらに、磨く際は一定方向に動かすのではなく、「縦・横・斜め」など、さまざまな方向に動かすことで、ムラなく仕上げられます。

磨き終わった後は、コンパウンドをしっかりと拭き取り、ワックスやコーティング剤で塗装面を保護しましょう。定期的なボディ磨きは、愛車を美しく保つために効果的です。

DIYでの活用と注意点

コンパウンドは、車のボディ磨き以外にも以下にも使用できます。

  • ヘッドライド
  • メッキパーツ

そのほかにも、家庭内の様々な 用途で使用できます。

具体的には、スマートフォンの画面の傷消しや、シンクの水垢落としなどです。しかし、使用する素材によっては、傷が付いたり変色したりする可能性があるため、注意が必要です。

使用する際は、必ず目立たない場所で試すことをおすすめします。

とくに、プラスチック製品に使用する場合は、溶剤によって溶けてしまう可能性があります。なかには、プラスチック製品に使用できる専用のコンパウンドも販売されているので、用途に合ったものを選択しましょう。

また、金属製品に使用する場合は、錆の原因となる可能性があります。そのため、使用後はしっかりと拭き取り、防錆処理を施すことをおすすめします。

コンパウンドは、正しく使用すれば、さまざまな用途に活用できる便利なアイテムです。使い方を誤ると、素材を傷めてしまう可能性があるため、使用前に必ず注意事項を確認し、適切な方法で使用しましょう。

コンパウンドで消えない傷はどうする?

コンパウンド ポリッシャー

コンパウンドは、浅い傷を目立たなくする効果がありますが、深い傷や下地まで達している傷を完全に消せません。

その際、2つの方法があります。

  • タッチペンを使用する
  • プロに依頼する

タッチペンは、傷の部分に塗料を塗布することで、傷を目立たなくするアイテムです。ただし、完全に元通りになるわけではなく、あくまでも応急処置的な方法です。

次に、プロに依頼する方法。プロなら、パテ埋めや必要に応じて再塗装、部品交換などをしてくれます。

広範囲に広がった傷や深い傷は、プロに依頼したほうが確実です。費用はかかりますが、仕上がりの美しさと耐久性を考慮すれば、プロへの依頼が最適な選択です。

まとめ:コンパウンドを効果的に使いこなそう!

コンパウンドは、正しく使うことで、愛車の美しさを維持し、より長くよい状態で乗り続けるために、必要なツールです。コンパウンドの種類や特性を理解し、愛車の状態に合った製品を選び、適切な方法で使用することが重要です。

この記事を参考に、コンパウンドを効果的に活用し愛車をきれいにして、カーライフを満喫しましょう。

よくある質問

コンパウンドとは?

車の傷を目立たなくさせたり、光沢を取り戻したりするための研磨剤です。研磨粒子の大きさによって仕上がりが異なっていきます。

コンパウンドを使用する際の注意点は?

作業前に汚れを落としておくことや深い傷は作業しすぎないようにします。ボディのクリア層を薄くしてしまわないように、バランスを取ることが求められます。

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