突然の事故やトラブルが発生したときに、命を守る重要なアイテム、それが発炎筒です。適切な使い方や選び方を知っていれば、緊急時も慌てずに対応できます。
この記事では、発炎筒の基本から応用まで、安心して運転できるように、必要な情報をわかりやすく解説していきます。
発炎筒とは

ドライブ中に予期せぬ事態に遭遇したとき、周囲に危険を知らせる最も確実な方法の一つ、それが発炎筒です。発炎筒と発炎筒はよく混同されがちですが、明かりで知らせる発炎筒と煙で知らせる発煙筒は用途が異なります。
特に、発炎筒はその強い光で夜間でも明確に危険を伝えることができるので、自動車用緊急保安炎筒として車検の際に装備が義務付けられています。
道路交通法 第75条の11
自動車専用道路等で緊急停止した場合は停止表示器材を使って停車を示すこと
※道路交通法
発炎筒はその使用方法も非常にシンプルです。通常、助手席や運転席の足元に固定されており、使用する際にはキャップを外し、本体の先端を擦り板でこするだけ。炎は約5分間燃焼し、その間に安全な場所に避難したり、救助を要請したりする時間を確保できます。
しかし、その明るさや使いやすさに安心しすぎず、使用には注意が必要です。特に、トンネル内や燃えやすい物が周囲にある場所では使用を控えるなど、安全に配慮した使用を心がけましょう。
このように、発炎筒は緊急時における貴重な命綱として重要な役割があるパーツです。
緊急時に備える
発炎筒は、あなたの未来を守るために、緊急時にどのように活用すればよいのか、その準備と心構えを整えることが重要です。まずは、車内に常備しておくこと。できれば、助手席や運転席の足元に固定し、いざというときにすぐに取り出せるようにしましょう。
また、定期的に発炎筒の状態をチェックし、使用期限や破損がないかを確認することも忘れないようにしましょう。
さらに、発炎筒の使い方を事前に確認しておくことも大切です。緊急時にパニックにならないように、どのように発炎筒を点火し、どこに設置すべきかを予め把握しておくと、冷静に対応できます。また、家族や同乗者にも発炎筒の使い方を教えておくことで、万が一のときに役立つかもしれません。
緊急時の対応フロー
万が一、高速道路で事故や故障が発生した場合、以下の対応フローで行動することをおすすめします。まず、ハザードランプを点灯して、路肩に寄せます。
次に、発炎筒と停止表示器材を車両後方に置き、可能ならばガードレールの外側など安全な場所に避難します。そして、非常電話か携帯電話で救援依頼をします。
特に、「発炎筒、停止表示器材は車から50メートル以上後方に置く」というポイントは重要で、見通しが悪い場合はさらに後方に置くようにしてください。ただし、燃料漏れの際は、引火の危険があるため、発炎筒は使わないようにしましょう。
発煙筒との違い
発煙筒は、発炎筒と同じように危険を周囲に知らせるためのアイテムですが、少し使い方に注意が必要です。
もし道路上で発煙筒を使用してしまうと、逆に周囲の危険度が増してしまいます。なぜかというと、発煙筒は勢いよくモクモクと煙を出すため、その煙が視界を遮ってしまうのです。これによって、他のドライバーが視界を失い、2次的な事故を引き起こすリスクがあります。
一方で、発炎筒は炎と少量の煙で危険を知らせる仕組みです。赤い炎が目立つため、視界を遮ることなく周囲に「危険だ」と知らせることができます。道端や夜間に使用する場合は、発炎筒の方が安心して使えるのです。
発炎筒の仕組み

発炎筒は、可視性を高めるために色の煙を生成するデバイスです。その主な用途は緊急信号、位置表示、または軍事演習での使用にあります。この装置のコアは、化学反応を利用して煙を発生させることです。
発炎筒には通常、酸化剤、燃料、着色剤、そして反応を調整するためのバインダーが含まれています。反応は、酸化剤と燃料が混ざり合い、点火されることで開始されます。この化学反応は高温を生じ、着色剤が気化し、特定の色の煙が生成されます。例えば、ストロンチウム化合物は赤色、バリウム化合物は緑色の煙を生成します。
安全性に配慮して、発炎筒は高温に耐えられる容器に密封されています。使用時には、外部から点火装置を起動し、化学反応が内部で安全に進行できるようになっています。他の用途では、海上での遭難信号や道路安全を確保するために用いられることが多く、その色や煙の量は使用目的に応じて異なります。
発炎筒の取り扱いには注意が必要で、正しい使用方法や保管条件を守ることが安全に利用するための鍵です。特に、湿気や直射日光を避けた、涼しく乾燥した場所で保管することが重要です。また、使用後は、残留物が環境に悪影響を及ぼさないよう適切に処理することが推奨されています。発炎筒は有効な視覚的信号手段であり、適切に使用されることで、緊急時の生命を救うことができます。
発炎筒の種類

従来型の発炎筒
これは一般に広く認知されているタイプで、鮮明な赤色の炎と煙を発します。特に、高速道路や一般道で車が停止した際に、他の運転手への明確な警告信号として機能します。
LED発炎筒
炎や煙を発することはなく、操作はシンプルです。背面は磁石で作られており、ガードレールや車体に簡単に取り付けることができます。さらに、従来の発炎筒と異なり、使用期限の心配がないため、長期間にわたって信頼して使用することができます。
これらの発炎筒はどちらも、車が故障や事故により止まった際、他のドライバーに危険を知らせるために不可欠です。どちらのタイプも車の緊急用具としての重要な役割を担っていますが、正確な使用法と適切な取り扱いが求められます。
また、従来型の発炎筒は使用期限が設定されており、期限が切れた場合は新しいものと交換する必要があります。一方LED発炎筒は本体は交換しなくてもよいですが、電池の交換が必要です。
火薬式の発炎筒は4年で替える

発炎筒は緊急時に使用される重要な安全装備であり、その有効性は期限に大きく左右されます。発炎筒の期限、正しくは「使用推奨期限」は、JIS規格で4年です。この期限は、発炎筒が保証された性能を発揮できる期間を意味し、化学成分が劣化し始める前の期間です。
期限が切れた発炎筒は、予期せぬ不発や不完全燃焼を起こすリスクがあります。また、燃焼時の色が変わる可能性もあり、これは救助信号としての信頼性を低下させます。
保管条件は発炎筒の性能を維持する上で非常に重要です。湿気、高温、直射日光は化学成分を劣化させ、発炎筒の寿命を短縮します。理想的には、涼しく乾燥した場所に保管し、直射日光や極端な温度変化から遠ざけることが推奨されます。
期限切れの発炎筒の処理も注意が必要です。不適切な処理は環境汚染や事故を引き起こす可能性があるため、地方自治体や専門の処理施設の指示に従って処分することが望ましいです。
発炎筒の期限は安全性と信頼性を保つために重要な要素です。使用推奨期限内での使用、適切な環境で保管されているかの確認、そして期限切れの発炎筒の適切な処理が、その効果を発揮し、緊急時に確実な安全を提供する鍵となります。
LEDならバッテリーチェック
LED式の発炎筒は、その光源としてLEDを使用しており、何度でも使用可能です。しかし従来型と同様に、定期的なチェックは欠かせません。
LED式の発炎筒は使用期限がなく、電池を交換すると繰り返し使えるというメリットがあります。また、電池の残量の分だけ連続して使えるので、長期間の点灯も可能です。
さらに防水になっているタイプもあるので、雨天でも水濡れをしたり、湿気による影響もありません。タイプによっては懐中電灯としても使用できます。
緊急時には非常信号灯として使用し、必要に応じて懐中電灯として視界を確保できます。
火薬式の発炎筒と比較して遠距離からの視認性が異なる可能性はあるでしょう。火薬式なら少しの煙を遠くから確認できるからです。
LED式の発炎筒はLEDの光を均一に拡散するようにできているので、保安基準を満たしています。点検すべきなのは電池ですので、毎回の車検ごとに電池交換をしておくと、万が一のときでも安心して使用できるでしょう。
車検で満たすべき発炎筒の基準

発炎筒を選ぶ際、何を基準に選べばいいのか迷います。安全性はもちろん、使い勝手や性能も重要なポイントです。LED非常信号灯は使用期限がなく、電池交換で繰り返し使えるのが特徴です。また、夜間の使用では、約200m先からでも確認できるほど強力な赤色の光を放ちます。
道路運送車両の保安基準
- 夜間200mの距離から確認できる赤色の灯火
- 自発光式
- 使用に便利な場所に備えられたものであること
- 振動、衝撃等により、損傷を生じ、又は作動するものでないこと
これは後続車への危険を明確に知らせるのに適しています。一方で、船舶用発炎筒は、特に海上や遠隔地での使用を想定しており、光度や燃焼時間に特化した規格が定められています。こうした特性を理解し、自分の使用シーンに合った発炎筒を選ぶことが大切です。
発炎筒の使い方

発炎筒を使用する際には、ただ点けるだけでなく、正しい方法で使用することが何よりも重要です。基本的な使用方法は、まず発炎筒のキャップを外し、本体を取り出します。
次に、発炎筒の先端をキャップの擦り板でこすることで点火し、置いたり手で持ったりして周囲に危険を知らせます。LEDタイプならスイッチをオンにしましょう。
この時、火を使うため、取り扱いや持つ位置には十分注意が必要です。最低燃焼時間は約5分間なので、その間に安全な場所に移動し、緊急停止を示す三角表示板を置いたり、救助を要請したりといった対処を行ってください。
また、発炎筒を使用する際の設置位置も重要なポイントです。停車した自動車の約50メートル後方に設置するのが一般的ですが、見通しが悪い道路や天候が悪いときは、さらに後方に設置することが推奨されています。
周囲に燃えやすい物がないかどうかもしっかりと確認し、火災などのリスクを減らすための配慮も忘れずに行いましょう。トンネルのように煙がこもる場所では、発炎筒は使用できないので、注意しましょう。
発炎筒を使う場合の注意点

発炎筒は正しく使用すれば大変役立つアイテムですが、使い方を間違えると逆に危険を招くこともあります。だからこそ、使用する際にはいくつかの注意点を把握しておくことが大切です。まず、発炎筒には有効期限が設定されています。
JIS規格では発炎筒の有効期限は4年とされており、期限が過ぎたものは使用できない可能性があるため、定期的なチェックと交換が必要です。また、発炎筒が湿気たり、破損している場合も、新しいものに買い替えることをおすすめします。
さらに、LEDタイプの発炎筒の場合、有効期限はないものの、乾電池には使用推奨期限があり、自然と消耗していくため、定期的な動作確認や電池交換は欠かせません。古くなった乾電池の液漏れなどにより、気付かないうちに故障してしまうことがあるので、特に注意が必要です。
発炎筒を使用する際には、周囲の状況にも気を配ることが大切です。たとえば、燃料漏れがある場合は、引火の危険があるため発炎筒は使わないようにしましょう。また、発炎筒の明るさや煙は周囲に大きな影響を与えるため、トンネル内や密閉された空間、燃えやすい物が周囲にある場所では使用を避けることが推奨されています。
発炎筒の処分方法
まず、発炎筒は特別な取り扱いが必要な危険物ですので、一般のゴミとして処分することはできません。適切な処分方法は、地域によって異なる場合があるため、最初のステップとしては、地方自治体の指針や地域の廃棄物処理施設に問い合わせることが重要です。
一般的な処分手順は以下の通りです。
地域の規則確認
最初に、地域の危険物の処理に関する規則を確認します。地方自治体のウェブサイトや廃棄物処理施設に連絡して、発炎筒の処分方法に関する情報を得ることが重要です。
専門の処理施設に連絡
多くの場合、発炎筒は専門の危険物処理施設によって処理される必要があります。これらの施設は、発炎筒を安全に処理し、環境への影響を最小限に抑えるための特別な方法を使用します。
運搬と保管
発炎筒を処理施設に持ち込む前に、安全な運搬と保管が必要です。発炎筒は振動や衝撃によって誤って作動する可能性があるため、しっかりと固定し、運搬中に動かないようにします。
正しい処理
処理施設に到着したら、専門スタッフが発炎筒を適切に処理します。これには通常、発炎筒を特殊な焼却炉で燃やすことが含まれます。
確認と記録
処理が終わったら、処理施設から処理証明書を受け取り、必要に応じて保管します。
正しい処分方法に従うことは、自己の安全だけでなく、環境保護にも貢献します。不明点がある場合や、処理方法に不安がある場合は、専門の機関に相談することをおすすめします。
定期的にチェックして常備しておこう
発炎筒は車検の度にチェックしており、有効期限が近いと交換するものです。しかし従来の発炎筒は4年という期限があったり、トンネルでは使用できないなどの制約もあります。
LED式の発炎筒(非常信号灯)ならトンネル内でも使用できますし、発炎筒よりも発光時間が長いという特徴があります。現在搭載されている発炎筒と比べて、メリット・デメリットがありますが、LED式はメリットが多いので一度検討してみるのはいかがでしょうか?
発炎筒などの非常時に使いたいカー用品についての動画はこちら
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